2019年4月スタートNHKの朝ドラ「なつぞら」は、北海道十勝地方が舞台。朝ドラ100作目、広瀬すずさん主役ということで、面白いドラマになりそうですね!
「なつぞら」の中で吉沢亮さんが演じる画家「山田天陽」は、主人公「なつ」に絵を教えて、なつの人生に大きな影響を与える人物。
この話は大森寿美男さんのオリジナル作品ですが、画家山田天陽は、神田日勝(かんだ にっしょう)という実在の画家がモデルになっています。
神田日勝は、32年という短い人生の中で、農家をしながら絵を描きました。
私は十勝の鹿追町にある神田日勝の記念館に数回行ったことがありますが、絵の前に立つと立ち止まらずにはいられない、力強く魂に訴えかけてくるような絵が大好きです。
そんな「神田日勝」のことを改めて調べましたので、まとめてみます。
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目次
NHK朝ドラ「なつぞら」
「なつぞら」は、朝ドラ100作目という節目の作品で、NHKの力の入りようが伺える内容と豪華キャスト。
朝ドラの定番である、女性がたくましく生きていく一代記なので、視聴者が「そうそう、これが見たいんだよね!」と思うような、骨太な作品になりそうです
あらすじ
物語は、昭和21年、9歳で戦争孤児になったヒロイン なつ(広瀬すずさん)が北海道十勝の農家に引き取られることから始まります。
なつは身を寄せた農家で生きていく術を教わり、北海道での生活で次第に子供らしさを取り戻し、周りともなじんでいきます。
やがて、すてきな馬の絵を描く少年、山田天陽(吉沢亮さん)と出合い、アメリカで人気があった漫画映画のことを知ります。
そして、創世記のアニメーションの世界に入り、アニメーターになっていく、というお話です。
山田天陽は、主人公の人生に影響を与えた、重要な役どころということになりますね。
キャスト
「なつぞら」のメインキャストです。
広瀬すずさん(ヒロイン・なつ役)
松嶋菜々子さん(なつの育ての母役)
藤木直人さん(なつの育ての父役)
音尾琢真さん(牧場の従業員役)
吉沢 亮さん(なつに絵を教える画家役)
山田裕貴さん(なつの同級生役)
草刈正雄さん(牧場の当主役)
注目の俳優さんが他にも出演しますが、北海道人の私としては、TEAM NACSから音尾琢真さん、安田 顕さん(菓子屋役)、戸次重幸さん(開拓農家役)の三人が出るのがうれしいですね!
注目の登場人物 山田天陽
中でも注目の登場人物は、なつに絵や漫画の世界を教える青年画家「山田天陽」だと思います。
なつがアニメーションの世界へ入るきっかけを作った人ですし、ヒロインの相手役というのはこの先、ブレイクしていくことが多いからです。
山田天陽役を演じるのは、若手注目株の吉沢亮さん。40代の私には、正直、きれいな顔の若い俳優さんくらいしかイメージがなかったんですが。。
調べてみると、仮面ライダーフォーゼ(福士蒼汰さん主演)のメテオ役だったんですね。うちの息子が初めて見た仮面ライダーシリーズだったので私も見ていました。
ほー、あの時のクールな彼が朝ドラに!ますます楽しみになってきましたー!!
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実在のモデルは神田日勝
この山田天陽には実在のモデルがいます。十勝の鹿追町で農家をしながら絵を描いていた、神田日勝です。
【生い立ち】
神田日勝は、1937年に東京、練馬の生まれ。1945年、日勝が8歳のとき、東京の戦火を逃れ、父母兄と一家で拓北農兵隊(戦災者の集団帰農計画)に応募し北海道に入植します。
神田家が鹿追町に着いたのは8月14日で、次の日には終戦を迎えます。東京から来た農業経験のない就農者が、ほとんどが5年ももたずに脱落する中、神田家は鹿追町に根付いていきます。
中学を卒業した日勝は、農家を継ぎ、地元の青年団でも活躍。相撲が強くスポーツにも熱中、演劇でも中心になり、弁論大会でも1位という快活な青年に育ちます。
その頃、兄が東京芸大に入学したのに影響を受け、幼少から絵が上手だった日勝も油絵を描いていくことになります。
日勝の絵は北海道内で早くから認められ、10代後半から毎年のように賞を取り始めます。
25歳で結婚、27歳で長男、31歳で長女が生まれ、酪農を取り入れ農地も広がり順風だと思われていたのですが。。
農業と展覧会準備など過密スケジュールの中、32歳だった1970年の春から原因不明の体調不良が続き、その年の8月、腎盂炎で生涯を閉じるのでした。
神田日勝の作品
作品の特徴
神田日勝の作品は、馬(道産子という農耕馬)、牛、鶏などの家畜や、人、家の中にあるものなど生活に密着したものをテーマに描かれています。
描くのは白いキャンバスではなく、茶色いベニヤ板を貼り合わせたもので、ペインティングナイフを使う独特の画法でした。
代表的な作品は、絶筆であり未完の「馬」。むき出しのベニヤ板に黒い馬が上半身のみ描かれています。
未完の絶筆というと、全体をデッサンしたもので輪郭だけとか塗りかけだったりしますが、日勝の「馬」は上半身のみですがくっきりと描かれていて、これが完成品といってもいいような感じがします。
作品はこちらで見ていただくことができます。「馬」もギャラリーの最後に入っています。
神田日勝記念美術館
昨年、10年以上ぶりに鹿追町の神田日勝記念美術館へ。独身のときに鹿追町付近のキャンプ場が好きで、帰りに何度か行ったことがありましたが、子供連れでは初めてです。
【開館時間】 午前10時~午後5時
【休 館 日】 毎週月曜日
【観 覧 料】 一般 520円、高校生 310円、小中学生 210円
詳細>>>公式HP ご利用案内
きれいな建物で「馬」の絵がシンボルになっています。残念ながら中の写真は撮れないのですが、「馬」をはじめ、日勝の作品ほとんどを見ることができます。
受付でiPod touchが無料で貸してもらえ、美術館のことや神田日勝の生涯などについて説明ガイドを聞きながら、鑑賞することができます。
私と夫はゆっくり見たかったので借りませんでしたが、子供たちは借りてイヤホンで聞きながら鑑賞していました。
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神田日勝の言葉
神田日勝は、絵だけでなく印象的な言葉も残しています。
「農民である。画家である。」
日勝は「農民画家」とひとくくりに言われるを嫌い、「自分は農民である。画家である。」と明確に区別して言いました。
両方一緒にやっているわけでも片手間にやっているわけでもなく、両方を真剣にやっていたということだと思います。今でいう二刀流ですね。
「結局、どういう作品が生まれるかは、どういう生き方をするかにかかっている。」
自分の中から何かを生み出す作業が芸術なので、芸術作品を作り出す人は、おそらく皆さんそうなのだと思います。
日勝の絵は日常にあるものを描いているので、絵が自分そのものだという感覚だったのではないでしょうか。
日勝はスポーツをすることや演劇でも中心人物を演じ、弁論大会では1位になり、いろいろな面で表現することに長けていました。言葉も大切にした人なのでしょうね。
まとめ
NHK朝ドラ「なつぞら」で吉沢亮さん演じる画家、山田天陽のモデルになったのは、実在の画家、神田日勝です。
戦争が終わる直前に北海道十勝の鹿追町に入植し、農業をしながら絵を描きました。農業を少しずつ広げ、家庭にも恵まれ、絵の才能も広く認められていくさなか、32歳のとき体を壊し短い生涯を閉じました。
32歳といえば、これからやりたいことも山ほどあったでしょう。生きていれば現在80代なので、今までどんな作品が生まれていたかと思うと残念でなりません。
朝ドラ「なつぞら」で山田天陽がどのように描かれていくのか楽しみにして見ていきたいと思います。
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